ラグビーには、「アフターマッチファンクション」と呼ばれる独自の慣習があります。この概念について耳にしたことがない方や、聞いたことはあっても詳細が不明な方も多いかもしれません。
この記事では、アフターマッチファンクションの概要を解説し、参加者が守るべきとされるいくつかの非公式ルールについても紹介します。
アフターマッチファンクションを知ることで、ラグビーの文化をより深く理解するきっかけになれば幸いです。
試合後の親睦を深めるアフターマッチファンクション
「アフターマッチファンクション」とは、ラグビーの試合後に行われる親睦会のことです。この言葉には「機能」「働き」といった意味合いも含まれています。
この親睦会には、選手はもちろん、大会主催者や関連団体のメンバー、チームスタッフ、審判なども参加することが一般的です。開催場所は、試合が行われたスタジアム内の特定の部屋や、外部の別の会場が用意されることもあります。
会では、アルコールを含む各種飲料と軽食が提供され、これらは通常、主催チームが用意します。参加者は食事を楽しみながら互いの努力を称賛し、相手チームを労いながら友情を深める時間を過ごします。
かつてフィールドで競い合っていた選手たちが和やかに会話を交わす様子は、ラグビーが「紳士のスポーツ」と称される由縁を象徴しています。
アフターマッチファンクションの起源は明確ではありませんが、ラグビーの発祥地であるイングランドで、ホームチームが訪れるチームをもてなすために始められたという説があります。日本においても、ラグビーが導入された明治時代からこの慣習が根付いています。
この親睦会は、「ノーサイドの精神」—試合後はすべての対立が忘れられる—を体現する重要な文化的要素とされています。
ラグビー界のユニークな飲酒ゲーム「バッファローコール」のルール
ラグビー選手間で共有されている独特の飲酒ルールがあり、「バッファローコール」と呼ばれています。このルールでは、ある特定の状況下で飲み物を一気に飲み干さなければならないとされています。
バッファローコールが発動するのは、選手が右手でグラスを持って飲んでしまった時です。ラグビー選手たちは通常、右手でグラスを持つことを避けます。その理由は、右手は握手に使う手であり、グラスを持つことで手が冷えたり濡れたりしてしまうと、握手時に相手に不快感を与える可能性があるからです。
このルールは国際的にも知られており、ラグビー選手たちの間では暗黙の了解として広まっています。したがって、ラグビー選手が集まる飲み会では、誰もが右手でグラスを持たないよう注意しています。
また、バッファローコールに関連するもう一つのルールには、テーブルの端に飲み物を置いてはならないというものがあります。これは、飲み物をこぼして周囲に迷惑をかけないためのもので、テーブルの端から親指の長さ以内に飲み物があると、バッファローコールが掛けられることになります。
このようなルールは、ラグビー選手たちがお互いに敬意を払いながら楽しむためのものであり、ラグビーが「紳士のスポーツ」と称される背景にも繋がっています。
なぜラグビー選手は試合後に親指を立てるのか?
大学ラグビーの試合後、選手たちがグラウンドで向かい合って親指を立てている姿を目にすることがあります。これは相手チームへの敬意を表して行われるエール交換の一環です。
具体的には、チームの代表が「Three cheers for (相手チーム名)rugby football team」と呼びかけた後に、チームメンバー全員で「ヒップ(hip)、ヒップ(hip)、ヒップ(hip)」と声を上げながら親指を立てます。この慣習は、イギリスの伝統的な歓声「Hip Hip Hooray」に由来しています。日本では、この歓声が独自の進化を遂げ、現在の形に落ち着いています。
このエール交換は、試合後のフィールドだけでなく、アフターマッチファンクションでも行われます。ここでは、チームの校歌や部歌を歌った後に再度「ヒップ(hip)、ヒップ(hip)、ヒップ(hip)」とエールを送ることが一般的です。
このような習慣は、ラグビーの試合だけでなく、選手同士の絆を深める大切な瞬間としても機能しており、スポーツマンシップの象徴とも言えるでしょう。
ラグビー試合後の親睦活動の役割と意義
ラグビー試合後のアフターマッチファンクションやバッファローコールに関する詳細をご紹介しました。ラグビーは肉体的にも精神的にも要求の高いスポーツですが、試合終了後に行われるこれらの親睦活動は、「ノーサイド」の精神を具現化しています。
これらの伝統は、ただ楽しい時間を過ごすだけでなく、選手や関係者の間の絆を深め、相互尊重を促進する貴重な機会となっています。試合の熱狂を共有し、競技を越えた友情を育むこれらの瞬間は、ラグビー文化の中で非常に重要な位置を占めています。
こうした交流は、ラグビーが単なるスポーツを超え、強固なコミュニティを形成する基盤となっています。