岐阜県・飛騨地方で昔から親しまれてきた「さるぼぼ」。丸い頭に赤い体、手足を広げたユニークな姿が特徴のお守り人形です。
その可愛らしさからお土産として人気ですが、一方で「ちょっと怖い」「呪いの人形?」という噂も広がっています。
今回はそんなさるぼぼについて、由来や歴史、怖いとされる理由、そして現代での進化まで、やさしく丁寧に解説していきます。
さるぼぼってなに?可愛いだけじゃないその正体
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飛騨地方で親しまれてきたさるぼぼとは?
さるぼぼは、岐阜県飛騨地方に伝わる郷土玩具で、お守りとして長く愛されてきました。
“赤ちゃんの猿”のような姿で、布でできた人形です。家庭の安全、子どもの健康、安産などを願って作られてきました。
名前の由来|「さる」と「ぼぼ」の意味
「さるぼぼ」は「さる(猿)」+「ぼぼ(赤ちゃん)」という飛騨地方の方言から生まれた名前です。
「猿=去る」ともかけて、“災いが去る”という意味も込められています。
なぜ赤色?色に込められた深い意味
赤は昔から「魔除け」の色とされ、病気や災いから守る力があると信じられてきました。
子どもが元気に育つようにとの願いを込め、赤い布で作られるようになったのです。
昔は手作りのお守りだった
かつてはおばあちゃんやお母さんが、家族のために布の端切れでひとつひとつ手作りしていました。
そこには“願いをこめる”という想いが込められていたのです。
全国に広まったきっかけは?
1970年代以降、飛騨高山の観光地で販売されるようになり、その可愛い見た目とご利益で全国に知られるようになりました。
地域によって形や意味が違うことも
地域によっては手足が長かったり、模様があったりするさるぼぼもあります。観光地によってデザインが違うのも楽しみのひとつです。
「怖い」と言われる理由は?ネットに広がる噂の正体
首がない?顔がない?ちょっと不気味?
さるぼぼには顔が描かれていないことが多く、無表情なのが特徴です。これが「怖い」と感じられることもあるようです。
なぜ顔を描かないの?その理由とは
顔を描かないのは、持つ人の願いや気持ちをそのまま受け止められるようにするためだと言われています。
怒った顔でも、笑った顔でもなく、「あなた自身の気持ちに寄り添う人形」として顔をあえて描かないんですね。
SNSで拡散された“呪いのさるぼぼ”?
ネット上では「心霊写真に写った」「怖い夢を見た」などの体験談が出回っていますが、これはさるぼぼが持つ“顔がない・古風な姿”が誤解された可能性が高いです。
飛騨地方に伝わる不思議な民話
さるぼぼとは直接関係ないものの、飛騨には古くから「山の神様」「人形の怪談」などが語り継がれており、それと混同されている可能性もあります。
「怖い」と「信仰」は紙一重?
昔から日本には「祟りを鎮めるために神として祀る」「怖い存在だからこそ敬う」という考え方もあり、さるぼぼもその流れの中にあるといえます。
さるぼぼと日本の民間信仰の深い関係
赤ちゃんの成長を願う人形
もともとさるぼぼは、子どもの健やかな成長を願う「おまじない」的なお守りでした。布を切って形を作ること自体が、家族の祈りだったのです。
魔除け・病気除けの力
さるぼぼの赤は、はしか・熱病などの病を避ける願いが込められています。昔は医療が発達していなかったため、お守りとして心の支えになっていました。
人形信仰と“身代わり”の思想
日本には「人形(ひとがた)」という考え方があり、人形に災いをうつして身代わりになってもらう信仰があります。
さるぼぼもまた、“身代わり”の守り人形だったのかもしれません。
似たようなお守り人形は全国にも
福島の「赤べこ」や、宮城の「こけし」、近年話題になった「アマビエ」など、日本には人形に祈りを託す文化がたくさんあります。
現代のさるぼぼはどう進化している?
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カラフルさるぼぼが登場!色でご利益が違う
最近では、赤以外にもピンク(恋愛運)、金色(金運)、青(仕事運)、緑(健康運)など、さまざまなカラーバリエーションのさるぼぼが登場しています。
観光客向けの限定デザインも人気
飛騨高山では、地元企業とコラボした限定さるぼぼや、アニメキャラクター風のさるぼぼもあり、観光客の間で人気です。
海外でも「SARUBOBO」として注目
インバウンド旅行客の間でもさるぼぼは人気で、“日本らしいお守り”として海外にも広まりつつあります。
飛騨の人たちが語る「さるぼぼの本当の意味」
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「おばあちゃんの家にあった」懐かしさ
多くの地元の方にとって、さるぼぼは「昔から家にあるもの」。おばあちゃんが玄関に飾っていた、子どものころ肌身離さず持っていた…そんな温かな思い出がつまった存在です。
「怖い」ではなく「優しい守り神」
地元の方に聞いてみると、「怖いなんて思ったことない」「むしろ安心する存在」という声が多くありました。
見た目以上に、大切な思いや祈りがこめられているのですね。
よくある質問(FAQ)
Q. 顔を描いてもいいの?
もちろんOKです。ただ、無表情だからこそ持ち主の気持ちを映しやすいという意味もあります。
Q. 家のどこに飾ればいいの?
玄関やリビング、人が集まる場所に飾るのが一般的です。寝室に置く人もいますよ。
Q. 古くなったさるぼぼはどう処分する?
神社での「お焚き上げ」や、感謝の気持ちをこめて丁寧に包んで処分するのがよいでしょう。
Q. プレゼントにしても大丈夫?
とても人気のあるお守りなので、恋人や友人への贈り物にもおすすめです。
まとめ|「怖さ」と「優しさ」のあいだにある祈り
さるぼぼは、時代とともに形を変えながら、今も人々の願いや祈りを受け止めてくれる存在です。
その無表情な姿の奥には、どんな願いを込めるかは“持ち主次第”。
「怖い」と言われるのも、それだけ強いエネルギーがあるからかもしれません。
あなたも、さるぼぼにそっと願いを託してみませんか?


