「または」「あるいは」「もしくは」は、どれも「選択肢が複数あるとき」に使われる言葉ですが、意味や使いどころには微妙な違いがあります。
普段なんとなく使っているかもしれませんが、ビジネスメールや契約書、プレゼン資料などでは、言葉のニュアンスが大きな誤解を生むことも。
この記事では、それぞれの言葉の意味・使い方を丁寧に解説し、比較表や具体例で迷わず選べるコツをご紹介します。
3つの言葉の違いを一瞬で判断する比較表
| 表現 | 意味 | 語感・印象 | 主な使用シーン |
|---|---|---|---|
| または(又は) | 選択肢の提示 | 中立・口語的 | 日常会話、ビジネスメール |
| あるいは(或いは) | 選択または推量 | やや丁寧・文語的 | 論文、提案書、柔らかい表現 |
| もしくは(若しくは) | 選択肢の提示(形式的) | 堅め・法律文書的 | 契約書、通知文、法令 |
【基礎編】「または」「あるいは」「もしくは」の意味と特徴
「または(又は)」:日常からビジネスまで万能選手
「または」は、もっともよく使われる表現で、口語でも書き言葉でも違和感がありません。選択肢を示す際の定番です。
よく使われるシーン
- ご希望の商品をAまたはBからお選びください。
- クレジットカード、または現金でのお支払いが可能です。
「あるいは(或いは)」:選択だけでなく「推量」も含む
「あるいは」は、少し丁寧で文語的な響きを持っています。場合によっては「〜かもしれない」といった推量にも使われます。
よく使われるシーン
- A、あるいはBの可能性も考慮すべきです。
- あるいは、その考え自体が間違っているのかもしれない。
「もしくは(若しくは)」:契約書などの厳密な表現
「もしくは」は、日常会話ではあまり使われませんが、契約文書や法令でよく使われる表現です。書き言葉としての格式があります。
よく使われるシーン
- 運転免許証、健康保険証、もしくはマイナンバーカードをご提示ください。
- 本人または代理人若しくは後見人による手続きが必要です。
【補足コラム】「または・あるいは・もしくは」の語源と漢字の意味
「又」「或」「若」の持つ意味とは?
それぞれの漢字には深い意味があります。
「又」は“さらに・追加”の意味を含み、日常的な言い換えにぴったり。
「或」は“どちらか”の古語的意味があり、「あるいは」は上品な響きを感じさせます。
「若」は“〜のような”という比喩から派生し、文語的で正確さが求められる場面に使われます。
“言葉の硬さ”は漢字から生まれている?
法律文書では「若しくは」を、「又は」とセットで使うことが多く、漢字表記によって文章の硬さや印象が変わることがあるのです。
【応用編】法令・契約書における「又は」と「若しくは」のルール
大きなまとまりは「又は」、小さなまとまりは「若しくは」
法令では、「又は」は大きな分類、「若しくは」はその中の小さな選択肢を表すときに使われます。
具体例:遺族補償の受給資格者
例:
「配偶者、父母又は子若しくは兄弟姉妹」
→ 「父母または子」という大きなまとまりの中で、「子・兄弟姉妹」はさらに小さな選択肢として「若しくは」でつながっています。
【誤用注意】意味が似ていて間違えやすい他の表現との違い
「および」「ならびに」との違い
「または」と「および」は対になる関係です。
– 「および」は「AとBの両方」
– 「または」は「AかBのどちらか」
意味が正反対なので、誤用に要注意です。
「and/or」など英語の論理接続との違い
英語の”or”には、「AまたはB」だけでなく「AおよびB」の意味も含まれてしまうことがあり、契約書では明確に書き分ける必要があります。
【注意点】意味が通じないNGな使い方とは?
どれを使ってもいいわけじゃない!誤解されやすい文章例
× AあるいはBまたはCもしくはD
→ このように混在すると、読者が選択の範囲を理解しにくくなります。
読み手に混乱を与える不自然な重複
選択肢が複数ある場合は、ひとつの接続語で統一するのが基本です。
【チェックリスト】迷ったときの使い分け判断ポイント
選ぶときの基準は「文体」と「読者」
- 口語・カジュアル →「または」
- 少し丁寧に →「あるいは」
- 契約・法的文書 →「もしくは」
判断フローで一発解決!
どんな文書か? → 誰に向けて書くか? → カジュアルさ or 正式さ?
この3つで自然に使い分けができます。
ビジネスシーン別!正しい使い分け例文集
メール・チャットでの使い分け
- 「資料はPDF、またはWord形式でご提出ください。」
- 「あるいは、別の方法も検討しています。」
プレゼン・企画書での使い分け
- 「対象は中学生または高校生を想定しています。」
- 「あるいは、別のターゲット戦略もあり得ます。」
契約書・重要なお知らせでの使い分け
- 「代理人または配偶者若しくは親権者の同意が必要です。」
「または」「あるいは」の英語表現(ビジネス英語)
“or”と“alternatively”の使い分け
“or” は基本の選択肢、“alternatively” は「別の選択肢として」の丁寧な言い回しです。
英文契約書での注意点:「and/or」表現との違い
“and/or” は日本語でいう「またはおよび」のような曖昧さを含みます。
正確さが求められる場合は、“either A or B”など明確に書くのがポイントです。
よくある質問(Q&A)
Q. これらの語は完全に言い換えできる?
A. 意味が似ていても、文体や印象が違うため完全な置き換えはできません。
Q. ひとつの文に複数使ってもいい?
A. 基本的には避けましょう。読み手が混乱します。
Q. カジュアルな文ではどれを使えば自然?
A. 「または」が最も自然で汎用的です。
まとめ|3つの言葉を正しく使い分けて、伝わる文章力をアップ!
- 「または」=もっとも中立的で万能な表現
- 「あるいは」=丁寧でやや柔らかい印象
- 「もしくは」=法的・契約的な厳密な文脈で使用
言葉の使い分けは、読み手への気配りにもつながります。
ぜひこの機会に、自分の文章を見直してみてくださいね。
