相手がはっきり言わずに、どちらとも取れるあいまいな返事をすることがあります。
それをよく「玉虫色の回答」と呼びます。
この記事では、「玉虫色の回答」という言葉の意味や、そうした返答をする人の心理、メリットやデメリット、上手な付き合い方までをやさしく解説していきます。
玉虫色の回答の意味と使われ方をやさしく解説
①玉虫色の回答とはどんな意味?
「玉虫色」とは、光の当たり方によって色が変わって見える昆虫「玉虫(たまむし)」の羽の色を例えた言葉です。
「玉虫色の回答」とは、どちらとも取れるあいまいな表現で、相手によって都合よく解釈できる返答のことを指します。
②「玉虫色」の語源と比喩的な意味
「玉虫色」は、表面の色が角度によって緑にも紫にも金にも見えることから、「見る人によって印象が変わる」「どちらにも取れる」という意味が広まりました。
③ビジネスシーンで多用される理由
上司や取引先など、利害関係のある相手に対して、はっきり断ったり肯定したりするのが難しい場面ってありますよね。
そんなとき、「玉虫色の返答」でその場をうまくやり過ごすことがビジネスではよく見られます。
④政治やメディアでの使われ方と実例
政治家の答弁などで、「玉虫色の発言」と報道されることがあります。これは、はっきりとした立場表明を避け、どちらにも受け取れる言い回しをしている場合に使われます。
⑤日常会話における玉虫色な表現の例
「まあ、どちらとも言えないかな」「状況次第だね」などの発言も、時には玉虫色と受け取られます。
特に、恋愛や家族間の会話などでも見られます。
⑥玉虫色の返答が相手に与える印象とは
「なんとなくはぐらかされたような感じ」「信頼していいのかな?」
こうした印象を与えることもあるので、言い方には注意が必要です。
玉虫色の回答をする人の心理5つ
①責任を取りたくない心理
答えをはっきりさせると、それに対する責任も生まれます。
その責任を避けたいという思いが、あいまいな返事につながることがあります。
②相手を傷つけたくない心理
ストレートな表現が相手にとってキツく感じられるのではないかと心配し、あえてやんわり伝えることもあります。
③場を穏便に収めたい心理
会議やグループの中で争いを避けたいとき、玉虫色の発言で場の空気を乱さないようにするケースもあります。
④自信がなく断定できない心理
自分の知識や判断に自信がないとき、あいまいな言い回しになってしまうことも少なくありません。
⑤本音を隠したい心理
あえて本当の考えや気持ちを見せたくないとき、玉虫色の返事をすることがあります。
【事例集】玉虫色の回答のよくあるフレーズと裏にある意図
①「ケースバイケースです」などの典型表現
「一概には言えません」「場合によりますね」などは、よく使われる玉虫色の表現です。
②あえて濁す“戦略的玉虫色”の使い方
断言すると不利になる場合、あえてあいまいにすることで相手に考えさせたり、逃げ道を残す戦略として使われることもあります。
③言い換えるとどう伝わる?相手の受け取り方
「柔らかい表現」と受け取られるか、「はっきりしない」と受け取られるかは、相手との関係や文脈によっても変わります。
玉虫色の回答の言い換え・類語まとめ【表でわかりやすく】
| 言い換え表現 | 意味・ニュアンス | 使用シーン |
|---|---|---|
| あいまいな返事 | はっきりせず、どちらとも取れる回答 | 日常会話・ビジネス |
| 濁す | 核心を避けて答える | 個人間の対話、インタビュー |
| ぼかす | 明言を避けて印象を曖昧にする | 政治・報道・恋愛相談 |
| 歯切れが悪い | 言い方がはっきりしない、迷っている印象 | 第三者が評価する際の表現 |
| 濃淡のある表現 | 柔らかく伝える、強く断言しない | プレゼン、会議、SNS投稿 |
| 多義的な表現 | 複数の意味に取れるように設計された言い回し | 外交、法令文、政策発表など |
| ambiguous(英語) | 曖昧な、不明確な | 英語圏での説明や翻訳に |
| equivocal(英語) | どちらとも取れる、あえてはっきりさせない | 政治発言・法律文書など |
玉虫色の回答のメリット3つ
①トラブルを回避できる
明言を避けることで、不要な対立や誤解を防げる場面もあります。
②人間関係を円滑にできる
相手の立場や気持ちに配慮したあいまいな言い回しは、関係性を保つうえで役立つこともあります。
③柔軟な対応・立場調整が可能になる
将来的な変化に対応できる余地を残すため、あえて明確な答えを避けることも合理的な判断といえます。
玉虫色の回答のデメリット5つ
①信頼性を損ないやすい
「はっきりしない人だな」という印象を持たれてしまうこともあります。
②誤解を招く可能性がある
相手が勝手に都合よく解釈してしまい、後で「言った・言わない」のトラブルに発展することも。
③リーダーとしての印象が弱くなる
特に職場では、明確な判断を求められる場面も多いため、曖昧さがマイナスに働くことがあります。
④議論や意思決定が進みにくくなる
玉虫色の意見ばかりでは、話し合いの方向性が見えなくなってしまいます。
⑤相手に不満や不信感を残す
「ちゃんと向き合ってくれていない」と思われてしまうこともあります。
玉虫色の回答をうまく使いこなすコツ4つ
①意図を持って“あいまいさ”を活かす
なんとなく使うのではなく、「今はまだ明確にできない」という意図を伝えながら使うと信頼されやすいです。
②相手の立場を配慮した言葉選び
相手にとってどう聞こえるかを意識することで、あいまいでも誠意ある印象を与えることができます。
③フォローの一言で印象をやわらげる
「後ほど改めてご説明します」「今は方向性だけですが…」などの一言を添えると丁寧な印象に。
④誠実なトーンで信頼感を損なわない工夫
語尾や表情、声のトーンも大切。丁寧で誠実な伝え方を心がけましょう。
よくある質問(FAQ)
Q1. 玉虫色の回答って悪いことなんですか?
必ずしも悪いとは限りません。相手を思いやってあえて曖昧にすることで、人間関係がスムーズになる場面もあります。ただし、使いすぎると「はっきりしない人」という印象を持たれることもあるので、バランスが大切です。
Q2. ビジネスで玉虫色の返答をされた場合、どう対応したらいいですか?
まずは「どういう意味か、もう少し具体的に教えていただけますか?」とやんわり確認してみましょう。相手も本音を探っている場合があるため、誠意をもって質問し直すのが効果的です。
Q3. 玉虫色な返答をしないようにするにはどうすればいいですか?
自分の意見や判断に「なぜそう考えるか」という理由を添えると、自然と曖昧さが減っていきます。また、「今はこう考えていますが、今後変わる可能性もあります」と伝えれば、やわらかさを保ちながらも軸を示せます。
Q4. 上司や先輩が玉虫色な返答を繰り返す場合、どう受け止めればいいですか?
その場で結論を出すのが難しいだけかもしれません。時間をおいて再確認したり、第三者の意見を交えて判断材料を増やすことで、より正確な対応ができるでしょう。
Q5. 玉虫色な発言をSNSや動画で使っても問題ないですか?
内容によります。柔らかさが求められる表現では有効ですが、炎上のリスクがあるテーマでは「逃げている」と誤解される可能性もあるため、誠実な姿勢を忘れずに投稿しましょう。
まとめ|玉虫色の回答は“使い方”と“バランス”がカギ
玉虫色の回答は、使い方によっては相手を思いやるやさしい表現にもなります。
でも、状況によっては信頼を損なったり、誤解の原因にもなりかねません。
大切なのは「なぜこの言い方をするのか」という意図をしっかり持つこと。
そして、必要な場面ではきちんと自分の意見や立場を伝えることも忘れずにいたいですね。

